ノスタルジー千夜一夜

失敗と後悔と懺悔の記録(草野徹平日記)

第39夜 シェヘラザードの悩み(エッセイを書く苦しみと楽しみ)・・・読んでもらえる文章を書く

シェヘラザードは王様に殺されないために、面白い話を千一夜話し聞かせて命が助かった。
彼女が助かったのは、シンドバッドの冒険などの面白い話を沢山知っていたからだ。
もし私のエッセイを聞かせていたら、話の途中で即座に王様に殺されていただろう。
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千夜一夜物語 に対する画像結果

4月末に、はてなブログを作った。
そしてタイトルに千夜一夜とつけてしまった。
今、このタイトルに苦しめられている。
シェヘラザードの名を冠した以上、つまらない話は書けない。

 

数年前から、人生史・家族史を綴るつもりで過去の思い出をエッセイの形で書き始めた。
過去の事実を年代順に書き並べたのだが、出来上がった文章は自分で読んでも面白くない。
これでは家族も読んでくれないだろう。
以前職場の文集にエッセイを書いた際に、「面白い」と褒められたのを思い出した。
やはり文章は読者なしには成り立たないと思う。

 

私は読者受けを狙って、人生史を連続的な記述の形でなく、ある瞬間を切り取ったエッセイとして書くという形に変えた。
しかし、読者にとって魅力ある文章とは何だろう。
娯楽性のあるもの、感動的なもの、有益な情報を含むもの、共感できるもの等だろうか。
だがそれらは、なかなか人生史と両立しづらい。

 

また、多くのブロガーは毎日記事を更新している。
さもないと読者が離れていくのかもしれない。
私も読者増を目指し、二日に一本は投稿しようとした。
だが私は書くのに時間がかかり、これまで書き貯めた25本前後のエッセイも瞬く間に在庫を使い果たした。
掲載が途切れないようにと一心に書いたが、二日に一本は難しい。

 

それでも、この一ケ月書くことに集中したおかげで、20本以上のエッセイができた。
その半数は発表するほどのものではなく、残りの半数しか公開できなかったが、私にとってはこれまでにないハイペースだ。

 

5月の連休以降、家事や畑の管理、庭仕事など、その大半をほっぽり出してパソコンに向かっている。
締め切りに追われて仕方なしでもあるが、これまでになく「筆が乗る」感覚が有り書くことが楽しい。
そして登場人物たちを、今までより生き生きと描ける様になったと思う。
このペースでいけば、一日おきの掲載は無理でも週1~2本程度なら書き続けられるような気がする。
これほど筆が進む状況はこれまでなかった。

 

だが周囲の環境は、今のペースで書くことを許してくれない。
家の中は片付かず、頼まれた仕事は後回し、畑は荒れ放題・・・
妻の視線はいよいよ厳しくなる。
残念ながら、書くことに割く時間を大幅に減らさざるを得ない。

 

ずいぶん前、沢木耕太郎の「一瞬の夏」という小説を読んだ。
プロボクサーがタイトルへの挑戦というチャンスを掴むが、生活のための仕事に追われて練習に集中できず、残念な結果に終わっていく。
今の私の状況に似ていなくもない。
この小説を読んだ時、二つの事を感じた。
1つは世の中は思い通りにはいかないという事。
もう一つは、人生におけるチャンスはそう何回も無いという事だ。

 

私のエッセイなんかはそれほど大した事ではないが、今の状態を手放すことに未練を感じている。
しかし、それも仕方がない。
このひと月の間エッセイ書きに没頭できたことだけで、満足することにしよう。

 

それに、チャンスがそう何回も無いのは確かだが、必ず次のチャンスはあると確信している。

 

(追記)
投稿ネタに困って、比較的読まれていない初期の投稿を「別冊」と称して、リライト投稿しました。
不当表示の様で申し訳ありません。

前回投稿の別冊①は第1夜とほぼ同じものです。

私はシェヘラザードほどに差し迫った締め切りに追われる立場ではないので、今後は肩の力を抜きマイペースで書き続けようと思っています。
早速この二日ほどは、梅雨の晴れ間の草取りに追われました。
身体を動かし、バランスの良い生活をすることは大事ですね。

千夜一夜物語 - Wikipedia