ノスタルジー千夜一夜

失敗と後悔と懺悔の記録(草野徹平日記)

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

第45夜 2011年・被災地(東北)にて①・・・悩み

宿舎に到着した晩、言われた言葉に自分を恥じた。「物見遊山で被災地に来ても構いません。現地に行けば、必ず『何かしたい』という気持になります」---------------- 今日の現場は前日に続いて、津波で浸水した家屋の泥出しだった。民家の庭…

別冊⑫(災害編)東日本大震災・・・孤独

2011年3月11日真っ黒な津波が、田園風景を吞み込みながら進んでいく。これまで確信していた「平和」が壊れた瞬間だった。・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4月下旬、その日の仕事は、大船渡市中心部の高台にある仮設住宅への支援物資の配達だった。各戸の…

第44夜 ビートルズの謎・・・アオナ ホー ヨー へー

昔、厚みがペラペラのフォノシート(レコード)があった。当時は、雑誌の通販で一枚100円以下で売っていたような記憶がある。・・・・・・・・・・・・・・・ 小学生の頃、我が家にはレコードプレーヤーが無かった。近所のお姉さんの家には有ったので、お姉さ…

別冊⑪(教育編)でもしか教師・・・教育におけるヤブ医者

教師は「医者で易者で役者でなければならない」と教わった。 人の課題を見抜き、進むべき道を示して励ませと言う意味だろう。 だが私はヤブ医者で、当たらぬ易者だった。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 呼ばれて校長室に入ると、教頭が一人ソファーに座っ…

別冊⑩(バイク・家族編)メグロS7・・・千羽鶴の遺灰との旅

我が家には錆だらけのオートバイがある。最後にエンジンをかけて以来、数十年も軒下で寝ている。でも、捨てられない。・・・・・・・・・・・・・・・ ライトに照らし出され、海の中に鳥居が赤く浮かび上がっている。夜の海辺には観光客の姿は無く、波音だけ…

第43夜 カワサキW1SA(バーチカルツインの響き)・・・「三番目」の逆襲

マルチエンジンの様に紳士的ではない。しかし、ハーレーの様に暴力的でもない。無骨だが人間的な温かみを感じさせるその排気音に、私は魅せられた。・・・・・・・・・・・・・・・ 燃料コックを開き、キャブレターに付けられたティクラーを押して、ややオー…

別冊⑨(音楽編)Danny Boy・・・我が子を待ちわびる

「ダニー・ボーイ」は、戦地に行った息子の帰りを待つ、父親の気持ちを歌ったものだと聞く。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「女将さん、曲名は何?」『何とかボーイ、ボニーだったかな?』少し酔ったかに見える女将は、はっきりとしない。「マイボニ…

第42夜 学校の怪談・・・深夜の残業

私は夜の学校が嫌いだ。誰もいないはずなのに、誰かがいるような気がしてしようがない。・・・・・・・・・・・・・・・ これまで私が勤務してきた学校は、比較的郊外にあるものが多かった。 そしてそんな学校の中には、古い墓場や火葬場の跡地を整地して作…

第41夜 ヒッチハイクは命懸け・・・夜の山道で

「何の用だ!」 野太い声を出しながら、ドアから大柄な運転手が降りてきた。見ると彼の手には、鉄パイプが握られている。私は、しまったと思った。・・・・・・・・・・・・・・・・・ 仕事のため熊本市方面へ向けて車を走らせていた。すると、「熊本市」と…

別冊⑧(医療編)世界一短い病名

何となく、他人に言い辛い病名が有る。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 憩室炎で入院した翌年の夏、私の身体はまたも重大な事態に見舞われた。便が出ない。元々便秘気味ではあったが、まったく出ない状態となった。「そのうち…